HbA1cが高い原因とは?放置するリスクと数値を下げる対策を解説|東坂戸クリニック|坂戸市 糖尿病内科|専門医と管理栄養士による食事指導が充実

〒350-0205埼玉県坂戸市東坂戸2-6-103

049-284-1718

WEB予約
院内イメージ

HbA1cが高い原因とは?放置するリスクと数値を下げる対策を解説

HbA1cが高い原因とは?放置するリスクと数値を下げる対策を解説|東坂戸クリニック|坂戸市 糖尿病内科|専門医と管理栄養士による食事指導が充実

2026年7月28日

HbA1cが高い原因とは?放置するリスクと数値を下げる対策を解説

健康診断で「HbA1cが高い」と指摘されたものの、自覚症状がないため対策を後回しにしていませんか。HbA1cは過去1〜2か月の平均血糖値を反映する指標です。放置すると、将来の健康リスクにつながる可能性があります。

この記事では、HbA1cが上昇する原因、放置した場合に起こりうる合併症のリスク、数値を下げる対策を解説します。

本記事を読み終える頃には、HbA1cの正しい知識が身につき、漠然とした不安が和らぐはずです。合併症を防ぎ、健やかな毎日を送るための第一歩を踏み出しましょう。

HbA1cが高くなる原因

HbA1cが高くなる主な原因は以下の5つです。

  1. 食生活の乱れ
  2. 運動不足
  3. ストレス・睡眠不足
  4. 遺伝的要因
  5. 加齢

①食生活の乱れ

糖質やカロリーの多い食事は、HbA1cを上げる直接的な原因です。

ご飯・パン・麺類などの主食や、清涼飲料水・菓子類に含まれる糖質を一度に多く摂ると、血液中のブドウ糖が急増します。血糖値の乱高下を繰り返すと、血糖値を下げるホルモン「インスリン」が効きにくい状態(インスリン抵抗性)に陥ります。その結果、血糖値が下がりにくい体質へと変わってしまいます。

毎日の食事の見直しはHbA1cを下げるうえで不可欠です。

②運動不足

運動不足は、血糖値を下げるインスリンの効き目(インスリン感受性)を鈍らせ、HbA1cを高くする要因です。

筋肉は、体内で多くのブドウ糖を消費する組織です。運動によって筋肉への血流が増えると、ブドウ糖が細胞内に取り込まれ、インスリンの働きが助けられます。

デスクワーク中心の生活などで体を動かす習慣がないと、血液中にブドウ糖があふれた状態が続き、高血糖を招きます。日常的に体を動かす習慣をつくりましょう。

③ストレス・睡眠不足

慢性的なストレスや睡眠不足も、HbA1cを乱す原因です。

強いストレスを感じると、体はコルチゾールやアドレナリンなどのストレスホルモンを分泌します。ストレスホルモンには、肝臓に蓄えたグリコーゲン(糖)をブドウ糖に変えて血液中に放出する働きがあり、血糖値を上昇させます。

睡眠不足もインスリンの効きを悪化させることがわかっています。心と体の両方を十分に休ませることも、血糖管理には欠かせません。

④遺伝的要因

ご家族に糖尿病の方がいる場合、HbA1cが上がりやすい体質を受け継いでいる可能性があります。

日本人は、食後にインスリンを追加で分泌する能力が欧米人に比べて低い傾向にあるといわれています。そのため、肥満でなくても血糖値が高くなりやすい特徴があります。

遺伝的リスクはあくまで「なりやすさ」であり、発症が決まっているわけではありません。ご自身の体質を早くから知り、生活習慣の改善に意識的に取り組みましょう。

⑤加齢

加齢も、HbA1cが高くなる一因です。年齢とともに、インスリンの分泌量が減ったり、インスリンへの反応性が低下したりします。

年齢を重ねると筋肉量も自然に減少し、ブドウ糖を消費する力が衰えます。同じ生活をしていても加齢によって血糖値が上がりやすくなります。

妊娠中の母親の血糖状態が、生まれてくる子の将来の体質に影響する可能性を示す研究も報告されています。(※1)ご自身の年齢や体の変化に合わせて、食事や運動を調整しましょう。

HbA1cの基準値と危険度

HbA1cの数値ごとの状態は以下の3つに分けられます。

  1. HbA1c5.6〜5.9%は正常高値
  2. HbA1c6.0〜6.4%は糖尿病予備群の可能性
  3. HbA1c6.5%以上は糖尿病の疑い

①HbA1c5.6〜5.9%は正常高値

HbA1cが5.6〜5.9%の範囲は「正常高値」に分類されます。「正常」という言葉が含まれますが、体内では血糖値がやや高めの状態が続いています。将来の糖尿病を防ぐための黄信号と捉え、生活を見直す機会にしましょう。


この段階で生活習慣を改善すれば、糖尿病への進行を食い止めることが期待できます。まずは、以下のような小さなことから始めましょう。

  • エレベーターを階段に変える
  • 甘い缶コーヒーやジュースを無糖のお茶や水にする
  • 食事は野菜から先に食べる


今日からできる一歩を踏み出しましょう。

②HbA1c6.0〜6.4%は糖尿病予備群の可能性

HbA1cが6.0〜6.4%の場合、糖尿病の一歩手前である「予備群(境界型)」の可能性が高い状態です。

予備群の段階では、血糖値が高い状態が続くことで、自覚症状がないまま血管へのダメージが進行しています。心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わる病気のリスクが正常な人と比べて高まることもわかっています。

食事や運動などの生活習慣の改善に取り組めば、正常な状態に戻ることも期待できます。一度医療機関へ相談し、専門家のアドバイスを受けましょう。

③HbA1c6.5%以上は糖尿病の疑い

HbA1cが6.5%以上の場合、糖尿病が疑われます。6.5%は糖尿病の診断基準の一つであり、速やかに医療機関を受診し、確定診断のための検査を受ける必要があります。

数値ごとの危険度は以下のとおりです。

HbA1cの数値 状態
7.0%超 合併症のリスクが高まりはじめる
8.0%以上 合併症が進行しやすい状態

数値が高くても、適切な治療で改善は期待できます。「まだ自覚症状がないから」と放置せず、専門医のもとで早期に治療を開始しましょう。

HbA1cが高いまま放置するリスク

HbA1cが高い状態を放置すると、自覚症状のないまま全身の血管が傷つき、以下の三大合併症を引き起こしかねません。

  1. 糖尿病神経障害
  2. 糖尿病網膜症
  3. 糖尿病腎症

①糖尿病神経障害

糖尿病神経障害は、高血糖によって手足の末梢神経がダメージを受け、しびれや痛み、感覚の低下などを引き起こす合併症です。三大合併症のなかでも早く現れやすいとされています。

最初は、足先や指先にジンジン、ピリピリとした痛みやしびれとして現れます。進行すると感覚が鈍くなり、靴擦れや切り傷、やけどに気づかず対応が遅れがちです。気づきにくい小さな傷が細菌感染の温床となり、治りにくい潰瘍や壊疽(えそ)へ発展することがあります。

足のトラブル(糖尿病性足潰瘍)は、年齢を重ねている方や、HbA1cが高い状態が長く続いている方ほど起こりやすいと指摘されています。(※2)毎日足を観察し、清潔に保つフットケアを心がけましょう。

②糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、目の奥で光を感じる網膜の血管が障害され、視力低下を招く合併症です。成人の失明原因の上位を占めるとされています。

高血糖によって、網膜の細い血管がもろくなって出血したり、詰まって酸素や栄養が届かなくなったりすることで、徐々に機能が失われます。糖尿病網膜症はかなり進行するまで自覚症状が現れにくい点に注意が必要です。糖尿病網膜症が進行すると、以下のようなサインが見られます。

  • 視界がかすんで見える
  • 黒い点や虫のようなものが飛んで見える(飛蚊症)
  • 視力が急に落ちる


糖尿病と診断されたら、目の症状がなくても定期的に眼科で眼底検査を受けましょう。

③糖尿病腎症

糖尿病腎症は、腎臓のフィルター機能が徐々に損なわれる合併症です。進行すると自力で老廃物を排出できなくなり、人工透析が必要になります。
高血糖が続くと、血液をろ過するフィルター(糸球体)が目詰まりを起こして硬くなり、機能しなくなります。初期には自覚症状が現れにくく、静かに進行します。糖尿病腎症が悪化すると、以下のような症状が現れます。

  • 体のむくみ
  • 貧血
  • 倦怠感、息切れ


腎不全に至ると、人工透析や腎移植を受けなければ生命を維持できなくなります。定期的な尿検査・血液検査で腎臓の状態をチェックし、早期発見・早期治療につなげましょう。

HbA1cを下げる方法

HbA1cを下げる方法は以下の3つです。

  1. 食事療法
  2. 運動療法
  3. 薬物療法

食事療法と運動療法が基本となり、必要に応じて薬物療法を組み合わせます。

①食事療法

食事療法は、血糖値の急上昇を防ぎ、HbA1cを下げるための治療の土台です。食べ方や内容を工夫すると、血糖値の動きを穏やかにできます。

主な食事療法のポイントを以下の表にまとめました。

ポイント 内容 ねらい
食べる順番 野菜・きのこ・海藻類(食物繊維)から食べる 糖の吸収を緩やかにして血糖値の急上昇を抑える
糖質の量と質 甘いお菓子やジュースを控え、玄米・全粒粉パンなど精製度の低い主食を選ぶ 血糖値の上昇を穏やかにする
食べ方 早食いを避け、ゆっくりよく噛んで食べる 満腹感を得やすくし、食べ過ぎを防ぐ
食事回数 1日3食を規則正しくとる 次の食事での血糖値の急上昇を防ぐ

専門家と協力しながら、個々の生活スタイルに合った無理のない食事プランを立てることが、良い結果につながります。

②運動療法

運動療法は、インスリンの効き目を高め、HbA1cを下がりやすくするもう一つの柱です。運動すると、筋肉が血液中のブドウ糖を消費するため、血糖値が下がります。運動を続けると筋肉が増え、インスリンの効きやすい体質へと変わっていきます。

HbA1cをさげるために取り入れたい運動を以下の表にまとめました。

種類 内容 目安
有酸素運動 ウォーキング・軽いジョギング・サイクリング・水泳など会話ができる程度の運動 1回20〜30分・週に3〜5日
筋力トレーニング スクワットや腕立て伏せなど筋肉に負荷をかける運動 週に2〜3回

継続が何よりの近道です。エレベーターを階段に変えるなど、日常生活のなかで体を動かす意識を持つことから始めましょう。どのような運動が合っているかは、医師や理学療法士と相談して計画を立てることをおすすめします

③薬物療法

薬物療法は、食事や運動だけでは目標値に届かない場合に、HbA1cコントロールを後押しする治療法です。
HbA1cを下げる薬には、以下のようにさまざまな働きを持つ種類があります。

  • インスリンの分泌を促す薬
  • インスリンの効きを良くする薬
  • 糖の吸収や排泄を調整する薬


近年は、作用の異なる複数の薬を組み合わせる治療も一般的です。基本的な治療薬では改善が不十分だった患者(平均HbA1c約9.0%)に3種類の薬を組み合わせたところ、HbA1cが平均1.73%低下したという報告があります。(※3)
自己判断で薬をやめたり量を調整したりせず、医師の指示に従いましょう。不安な点があれば、医師や薬剤師に相談しましょう。

まとめ

HbA1cが高い主な原因は食生活や運動不足にあり、放置すると合併症につながりかねません。生活習慣の見直しが改善の鍵です。

HbA1cは、過去1〜2か月の血糖状態を映す体からの警告サインです。見過ごすと、神経障害や心筋梗塞など、生活の質を大きく損なう病気のリスクが高まります。

健康診断で数値を指摘されたら、一人で悩まず、まずは専門の医療機関へ相談しましょう。

東坂戸クリニックでは、糖尿病専門医による診療に加え、管理栄養士や糖尿病療養指導士と連携したチーム医療を行っています。血糖値やHbA1cが気になる方、健診で異常を指摘された方は、お気軽にご相談ください。

参考文献

  1. Habtewold TD, Wijesiriwardhana P, Biedrzycki RJ, Zhang C, Grantz KL, Grewal J, Tekola-Ayele F. Longitudinal maternal glycemia during pregnancy and placental epigenetic age acceleration. Clinical Epigenetics. 2025;17(1).
  2. Guo P, Tu Y, Liu R, Gao Z, Du M, Fu Y, Wang Y, Yan S, Shang X. Performance of risk prediction models for diabetic foot ulcer: a meta-analysis. PeerJ. 2024;12:e17770.
  3. Sahay RK, Giri R, Shembalkar JV, Gupta SK, Mohan B, Kurmi P, Kumar SR, Sawardekar VM, Mishra A, Murthy LS, Arya VV, Sonawane AR, Soni PN, Gofne SK, Karnawat SR, Rajurkar MN, Patel PM, Lakhwani LK, Mehta SC, Joglekar SJ. Fixed-Dose Combination of Dapagliflozin + Sitagliptin + Metformin in Patients with Type 2 Diabetes Poorly Controlled with Metformin: Phase 3, Randomized Comparison with Dual Combinations. Advances in Therapy. 2023;40(7):3227-3246.

TOP